はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と四十六 「ゴツゴツ ノ ベラベッカ!」 「コレだよ、コレ、コレ」 妙にプチハイテンションで、そう宣いながら奥から舞い戻ってきたAくんが、片付けられて些(イササ)か寂しくなっていたテーブルの上にポンと置いたモノ、ソレは、ナニやらゴツゴツとした数枚の茶色い輪切りたち。そして、少し遅れて赤ワインの瓶がドンと置かれる。 「あっ、グラスを忘れた」 慌てて奥にグラスを取りに行く、Aくん。 テーブルの上に鎮座する軽く焼かれたソレらは、スイートでスパイシーな香りを放つ。好きな香りだ。 「こんなのしかなくて」 ゴツゴツの茶色い輪切りに負けないぐらいゴツゴツなグラ…