文化祭が迫る中、少年は失われた季節の幻影を、誰かに重ねて眇めている。 スキローアニメ、クライマックスに向けて静かに滑走路を敷く第10話である。 美津未ちゃんが天然由来の牽引力で運んできた物語の、ずっと真ん中に立たなかった青年がようやく、内面を吐露しながらお話の中核に座る/自分の中核を晒すエピソードとなった。 謎めいた存在だからこそ心地よい幻想を貼り付け、恋に恋することが可能な異性というミステリを、爽やかな手触りで話のメインエンジンに据えてきたこのお話にとって、志摩くん視点のお話を掘り下げていくことは、ある意味覚悟のいることだと思う。 彼がどんな影を持ち、過去に縛られ未来に怯えているかを描くこと…