気候が良くなり、テラスにテーブルセットや焼き台を物置から出してきて、投光器をセッティングすると、バーベキューを始められる環境が整った。今の季節は、夕焼けのなか心地よい自然の風を感じつつ、貝類をフツフツ焼きながら飲むビールは、砂漠のなかのオアシスで生き返るようだ。 江戸時代の昔から「その手は桑名の焼き蛤」という有名な洒落言葉がある。家康家臣の本田忠勝公が、街づくりをした桑名宿で、香りと共に味わえた焼き蛤は、東海道屈指の名物で、十返舎一九が著した東海道中膝栗毛の作中に、弥次さん喜多さんも舌鼓を打っている場面がある。当時、桑名の富田が有名だったとある。 焼き貝の醍醐味といえば、サザエの身の奥に潜む、…