翌日は、夫の事務所へ出勤する日だったが、急きょ休んで、Rの元へ行くことにした。 夫が出勤した後に、事務スタッフへ連絡して、出勤日を変えると伝えた。 こんな勝手なことをすると、後で夫にどんなに叱られるかわかっていたが、 その時の私は、夫より、Rの反応の方がよほど恐かった。 飛び乗った電車がやけにのろく感じた。 1時間ほどしてようやく、Rが勤める大学の最寄駅に着いた。 私は弾丸のように電車から飛び出すと、彼の研究室がある校舎まで走った。 Rが、1階のロビーまで迎えに来てくれた。 エレベーターの扉が開き、彼の顔を見たとたん、私は、予想よりかなり悪い状態だと察した。 彼は、扉を手で押さえて、「どうぞ」…