訓読 >>> 969須臾(しましく)も行きて見てしか神名火(かむなび)の淵は浅(あ)せにて瀬にかなるらむ 970指進(さしずみ)の栗栖(くるす)の小野の萩(はぎ)の花散らむ時にし行きて手向(たむ)けむ 要旨 >>> 〈969〉ほんのちょっとの間でも訪ねてみたいものだ。神名火の川の淵は、浅くなってしまって、今では瀬になっているのではなかろうか。 〈970〉栗栖の小野に咲く萩の花、その花が散る頃には、きっと出かけていって、神社にお供えをしよう。 鑑賞 >>> 天平3年(731年)に「大納言大伴卿の奈良の家に在りて故郷を思(しの)へる」歌2首。大宰府から帰京して間もなく、旅人は病に臥せってしまいます…