訓読 >>> 高円(たかまと)の秋野(あきの)の上(うへ)のなでしこが花 うら若み人のかざししなでしこが花 要旨 >>> 高円の秋野に咲いたナデシコの花。初々しいのでどなたかが挿頭になさった、そのナデシコの花。 鑑賞 >>> 丹生女王(にうのおおきみ)が、大宰帥の大伴旅人に贈った旋頭歌形式(5・7・7・5・7・7)の歌。「高円」は、奈良市の東南の、春日山の南の一帯。「うら若み」は、初々しいので。「人」は、旅人のこと。「かざしし」は、ここでは愛した意。表面的には風雅な便りとなっていますが、女王が若かりしころに、旅人に愛されたことを懐かしみつつ、ナデシコの花を自分自身に譬えています。古風な旋頭歌に…