訓読 >>> 霞(かすみ)立つ春の初めを今日(けふ)のごと見むと思へば楽しとぞ思ふ 要旨 >>> 春の初めのめでたい時を、今日のようにこれからもお逢いできると思うと楽しゅうございます。 鑑賞 >>> 天平勝宝6年(754年)正月、大伴一族が家持邸に集まって祝賀の宴を開いた時に、大伴池主(おおとものいけぬし)が詠んだ歌です。 大伴池主は大伴家持の同族で、生没年不詳ながら、天平18年(746年)ころ、越中守だった家持の配下にあり、家持との間に交わした歌を多く残しています。後に越中掾(じょう:国司の第3等官)に転じ、さらに中央官として都に帰っています。記録の上では、家持との交流は20年に及び、さらに…