内務省社会局編『大正震災志』下, 東京, 内務省社会局, 1926年. 附録 第一篇 藝術品並に史的古物及古典籍の損害 日本橋区 菊地長四郎氏(元濱町)は、火勢の遂にいかんともすべからざる窮極に立ち至るや、新獲の蘇東坡寒食帖の一巻と、李公麟瀟湘臥圖巻、崋山于公高門圖、同湖石白猫圖の四點を携へて危難を避け、次で壁上の草坪六祖圖を取出し來たものがあって、都合五品は救ひ出されたが、其他無慮幾萬の書畫文房具典籍は挙げて祝融氏の蹂躙に委してしまった。其の細目は未だ調査の途中にあるから、今左に其の一班を録して、異日の大成に資することとする。 一敦煌石室本法華玄義一巻(…以下略) 赤坂区 大倉集古館(葵町)…