るるぶより Episode 080 不定期恋愛小説 『K・陽子』vol.10 大原三千院 嬉しそうな表情をした渡瀬さんがいた。バースデー、誰にでもある一年で一番ハッピーなアニバーサリー。最愛の妻と気の置けない仲間たちと一緒に過ごす。僕は、幸せだった。世間一般的な見地からすれば、、 そしていつもの時間がやって来た。僕は、電話を掛けずにいた。もっと適当な言い方をすれば、掛けられずにいた。陽子は多分知っているだろう、この集まりを。だから、来なかった。彼女は、バカじゃない。ぼくを困らせることも考えたかもしれない。でも、そんな事をすれば、返って惨めになるだけだ。それに僕たちの関係は、何も超えてはいない。…