永井紗耶子さんの『大奥づとめ』を読んだ。 上様の寵愛こそすべて、とは考えなかった女性たちがいた。御手つきとは違い、昼間の仕事に励んだ「お清」の女中たち。努力と才覚で働く彼女たちにも、人知れず悩みはあって……。里に帰れぬ事情がある文書係の女、お洒落が苦手なのに衣装係になった女、大柄というだけで生き辛い女、負けるわけにはいかぬが口癖の女。涙も口惜しさも強さに変えて、潑剌と自分らしく生きた女たちを描く傑作。 大奥を舞台に働く女性たちを主人公にした短編集。お仕事小説といっていいと思う。将軍の寵愛を競うだけじゃない、こんな多様な職種と働き方があるのか!っていう発見がおもしろさのひとつ。そして、男の出世は…