少子高齢化社会の泥棒たち 平成10年8月22日、関西空港からトルコ航空でイスタンブールへ飛ぶ。 翌23日は日曜日で快晴であった。午前九時半頃、ガラタ橋のたもとから、3~4階建の石造りの家々が並ぶ旧市街の坂道を歩いた。ペルシア風のバルコニーが張り出している家の前で、テーブルを囲む男たちを撮影すると、お茶をすすめられた。 33年前の早春、初めて訪れた時のことを思い出し、静かな街の古いたたずまいを眺めながら、ゆっくり上った。 しばらく歩くと、日曜市の立つイスタンブール大学通りに出た。賑やかな市場の雰囲気を楽しみながら歩いていると、2人の若者がシャツを売りつけようと寄ってきた。首を横に振って断っても、…