口がまわらず 誰にも言葉が聞き取れない。 始終尿を漏らすので 歩いた後には尿が濡れて臭く ”まいまい(カタツムリ)”のように引きずった跡が残るため「まいまいつぶろ」と呼ばれた将軍がいた。 その人は 颯爽と馬に乗る暴れん坊将軍として有名な徳川吉宗が紀州藩当主だった頃 側室・お須磨の方との間に生まれた長福丸(幼名)で 後々九代目将軍となる徳川家重。 出産時 臍の緒が首に巻き付いたせいで 右足と右手に麻痺が残り 片頬は引き攣れて 言葉も上手く発せず 唯一言葉を理解できた生母は 早々に逝ってしまった。 5年後 徳川家八代将軍となった父親の吉宗と共に江戸城に入城するが 生まれながらに身体が弱く障碍を持ち…