「ただ例のような雨が 少しの絶え間もなく降っておりまして、 その中に風も時々吹き出すというような日が 幾日も続くのでございますから、 それで皆様の御心配が始まったものだと存じます。 今度のように地の底までも通るような 荒い雹《ひょう》が降ったり、 雷鳴の静まらないことはこれまでにないことでございます」 などと言う男の表情にも 深刻な恐怖の色の見えるのも源氏をより心細くさせた。 こんなことでこの世は滅んでいくのでないかと 源氏は思っていたが、 その翌日からまた大風が吹いて、海潮が満ち、 高く立つ波の音は岩も山も崩してしまうように響いた。 雷鳴と電光のさすことの烈《はげ》しくなったことは 想像もで…