日本の民間団体である大正一切経刊行会(現在の大蔵出版株式会社)が1924年(大正13年)から1934年(昭和9年)の10年間をかけて、高麗海印寺本を底本として日本にある漢訳経典をすべて調査校合した大蔵経。プロデューサーは高楠順次郎、渡辺海旭、小野玄妙の3名。17字詰29行3段組、各巻平均1000ページになっている。正蔵(中国所伝)55巻、続蔵(日本撰述)30巻、別巻15巻(図像部12巻、昭和法宝総目録3巻)の全100巻で構成されている。
岡崎のブックス・ヘリングで入手した冊子『教化問題並に悪思想防止策:文部大臣に建言書の写』(皇道普及会事務所、昭和4年4月)については、「大連にあった皇道普及会の会長大石萬壽ーー昭和4年日本の古典神典を翻訳して猶太民族に配れと文部大臣に提言ーー - 神保町系オタオタ日記」で紹介した。今回紹介する『会員名簿』(大正一切経刊行会、昭和6年)も、ヘリングで小冊子群を一括1,000円で売っていただいた中の1冊である。ありがとうございます。大正13年から昭和9年にかけて刊行された100巻の『大正新脩大蔵経』の予約者名簿(昭和6年4月現在)と思われる。地域別(道府県、朝鮮、台湾、満洲・関東州、支那)、龍谷大…
仏教経典に興味を持っている人にとっては周知の事実であるが、経蔵(パーリ:Suttapiṭaka、サンスクリット:Sūtrapiṭaka)に含まれる集成の名称は、漢訳仏典では阿含*1で、パーリ仏典ではニカーヤ*2となっている。阿含はアーガマ(āgama)の音写で、サンスクリットでで”伝承”(英語で”tradition”)とか”集成”(英語で"collection")を意味し、ニカーヤ(nikāya)はパーリ語で”部”(英語で”volume”)を意味しているとのことである。それでちょっと気になったのが、このような用語の違いは仏教経典の系統が分かれて伝承される中で、一体いつ頃に生じたのだろうかという…
『渓嵐拾葉集(けいらんしゅうようしゅう)』を読んでみたい。 そう思ったのは、深夜にちくま学芸文庫の棚を眺めるうちに、佐藤弘夫『鎌倉仏教』(ちくま学芸文庫サ30-1、筑摩書房、2014;レグルス文庫、第三文明社、1994)に目が留まり、その目次に「最高学府としての比叡山」という項目を見つけ、その前後を読み、次のような一節を目に入れたからだった。 比叡山は、たんに仏教に関する学問の宝庫であっただけではない。その荘園領主化にともなって、寺院内には医学や天文暦学・農業・土木など世俗的な知識と技術が発達し、それぞれの道についての専門僧が出現してくるのである。 光宗によって十四世紀前半に編集された『渓嵐拾…
ティラノサウルスを発見した男 バーナム・ブラウン ローウェル・ディンガス/マーク・A・ノレル国書刊行会 ティラノサウルスを発見した男 バーナム・ブラウン作者:ローウェル・ディンガス,マーク・A・ノレル国書刊行会Amazon 伝説の恐竜ハンター、バーナム・ブラウン。愛称はミスター・ボーンズ。新種を次々と発見する天才的嗅覚。恐竜発掘が「探検」だった時代を追体験できるロマン溢れる初の本格的評伝。 詳細を読む 読書メーターブクログ 承認をひらく:新・人権宣言 暉峻 淑子岩波書店 承認をひらく──新・人権宣言作者:暉峻 淑子岩波書店Amazon 承認は、存在を認められたい人間の根源的な欲求と社会制度の乖…
このところ、少しずつ時間をみつけて改良を続けている、「大正新脩大蔵経と他の木版・写本を簡単に比較できる仕組み」ですが、表示を高速化できるように色々工夫を行いまして、割とお待たせせずに表示できるようになりつつあります。 それから、「木版大蔵経の版まるごと」の比較だけでなく、個々の経典の写本や版本でも対比できるように、全体的に枠組みを拡張しました。まずはお試し版ということで、短いけど有名なテキスト『般若波羅蜜多心経』で、フランス国立図書館に所蔵されている敦煌写本ペリオコレクションから2つの写本を組込んでみました。以下の画像で、左上の「大蔵経一覧」のところを選ぶとそれぞれの版と大正新脩大蔵経が表示で…