春はいいよなあ、とつぶやきながら歩いて思い出すのは志村けんだが、こんな変なおっさんはおらんやろと思っていた幼少期の私は、よもや自分自身がそのようなおっさんになっているとは思いもよらないだろう。とはいえ、他人に絡むわけではないので、迷惑度合いでは全く異なるし、私はただ桜並木を歩き、ようやく迎えられた春に、安心と敬意から来る感情をもって、気持ちニコニコしながら歩いているだけである。ただ、そのような姿も、幼少期の記憶に残っている別のおっさんと瓜二つであるから、結局当時の私は今を見て驚くのかもしれない。 どのような街にも、規模はともかく一つぐらいは桜の名所があるものだろう。我らが地元にも、この季節が来…