天下の政権を掌握した人のこと。もともと「天下」とは、世界の全体を指す抽象概念であり、古代中国の思想概念だったものが、日本でも古代から用いられるようになった。「天下」という言葉は、蘇我馬子が草創した法興寺の塔の露盤銘で、推古天皇 4 年 (596年) に使用されていることが確認されている。また、天皇という名称の前身にあたるものとして治天下大王(あめのしたしろしめすおおきみ)などが存在する。「天下人」という言葉がいつ頃出来上がって、誰が使い始めたかは定かではないが、江戸時代初期の元和 7 年 (1621年) より書かれた『川角太閤記』が初めてといわれており、この頃にはすでに普及・定着しつつあったことがわかる。