「尊皇攘夷」(片山杜秀著、新潮選書)を読んで、日本の国粋主義の源流の一つに徳川光圀、つまり水戸黄門がいると分かりました。 幕末に盛んになった尊皇攘夷思想は、徳川光圀が創り上げた水戸学をほぼ踏襲しています。たとえば、「楠木正成忠君神話の矛盾を気にしない日本人」にも書いたように、現代まで続く右翼(国粋主義)の南北朝時代の南朝びいきや楠木正成神話は、徳川光圀から始まっています。なぜ徳川光圀が南朝びいきかといえば、当時、江戸で流行っていた太平記に感動したからです。太平記が史実と限らないことは一読すれば分かるので、バカみたいにくだらない理由です。 ともかく、これで長年の謎は一つ解けました。徳川光圀が南朝…