奈良は、その静けさを破って、はっきりと「食欲」という言葉に姿を与える匂いがある。それが、天理スタミナラーメンだ。 始まりは1978年、天理郵便局前の屋台だった。夜の路上に灯りがともり、人が集まり、言葉が交わされ、腹が満たされる。1981年には桜井三輪に屋台2号店、1987年5月に本店が開く。 本店の壁面に掲げられた年表は、その歩みを一列の数字に整えて見せているが、数字の背後には、湯気と声と夜気がある。奈良の生活の時間が、屋台の鍋の中で煮詰められていった。 当時、これほどまでに野菜、とりわけ白菜を惜しげもなく入れ、豆板醤とにんにくで真正面から殴りかかるようなラーメンは珍しかった。盆地の冬は底冷え…