天野清著「量子力学史」(自然選書 中央公論社 1973年刊)を再読したのは10年ほど前だった。(ただし、付録を除く。)やはり、量子力学の講義の準備のためだった。 以下のセクションが量子力学の核心に当たるところであろう。すなわち、 §16 量子力学における物理的量の状態の概念、 §17 観測と統計、 §18 相反補足性(Komplementaritaet)、 §19 相反補足性の概念、 §20 相互排他補足性 --- (統計力学と熱力学の関係) ガリレイによって物理学の方法が確立して以来、実験は人間が観測したい量を計るための自然への積極的な働きかけである。そこでは、計りたい量に対応した装置が用い…