1932年(昭7)春陽堂刊。日本小説文庫216~218 所収(3分冊)。銭形平次の連作のみ有名な野村胡堂だが、その少し前に一連の「奇談クラブ」という中短編集を書いていた。あまり知られていないが、戦後「奇談クラブ」5篇と「新奇談クラブ」13篇をまとめて「奇談クラブ」として刊行されたことがある。奇談クラブとは「デカメロン」のように一堂に会したメンバーが交互に幻想怪異譚を語り合うオムニバス形式の短編集となっている。もともと「奇談クラブ」のほうが中篇集、「新奇談クラブ」のほうが短編集となっていたが、国会図書館デジタル・コレクションで読めたのは「新」の9篇と中篇の3作の計12点だった。いずれも荒唐無稽と…