江戸時代、幕藩体制は多くの下層民にとっては辛いことが多かった時代であった。大方は出生によって身分が決定づけられた。藩政は藩主の恣意が大きかったから地域差もあった。後の時代の人間は、そういう時代から是も非も歴史の流れから解いて見いだして繋いでいくしかない。 徳川光圀という人は、なかなか複雑である。 立派な人物のように見えるが、晩年、家臣藤井紋太夫を自ら惨殺している。江戸にある藩邸で自らも舞台に立った演能会のことだった。私の想像だが、裁きの手続きに入れば連座によって罪に問われる人物が出てくるので、事件を小さく収めるために、敢えて能会という場で関係者に警告する目的で事に及んだのではないか。推理小説な…