高市早苗氏が日本初の女性首相に就任したというニュースを聞いた朝、私はテレビの前で一瞬、時代が少し動いた気がした。長い間、政治の世界は男性中心で、女性はどんなに優秀でも「脇役」として扱われてきた。だからこそ、女性が国のトップに立つという事実は、多くの人に希望を与える出来事だったに違いない。 だが、その希望の光の奥に、私の胸の中では複雑な影も差していた。「女性が首相になった」というだけで、日本が急に変わるわけではない。なぜなら、高市氏が率いるのは、長く日本政治を握ってきた自民党であり、同じ体質の中で育ってきた政治家の一人でもあるからだ。もしその「古い体質」そのものが、今の社会の閉塞感を生み出してい…