小さい頃、突然、近所のお宅に一晩あずけらた。 ご近所といっても、私には面識らしきものはなく、大変な人見知りであったから怖ろしい気さえした。 細々と気をつかってもらったが、緊張から夜間一睡もできなかった。 布団の中から、豆電球のついた四角い蛍光灯をぼんやりと眺めたまま翌朝を迎えた。 父がやって来て、とある所に連れて行かれた。 向かった先は、病院だった。 父はやけに機嫌がよかった。 病院の大きなガラスばりの一室に通された。 父が、指をさして何やら言う。 ガラス越しには、生まれたばかりの赤ちゃん達がたくさん並んで寝かされていた。 父が人差し指でしめしている先に、ひときわ色の赤黒い赤ん坊がいた。 父の…