夫婦の間柄というのは、他の種類の人間関係とはちょっと違った性質の、たとえば若かりし恋愛関係にはない、ちょっとした"特別さ"があって、これに心あたりのある方ならば、この本、眉村卓『妻に捧げた1778話』(新潮新書、2004年)は、どこか響くところのある本になると思います。 本書は、作家である夫が、長く連れそった妻の闘病生活をともに暮らし、そのあいだに一日一話短編を書きつづることを誓って、書き溜めて、それを毎日妻に読んでもらいながら、さいごに妻を看取る、というお話なのですが、その坦々とした筆致の随想をさいごに綴じる瞬間は、やはり胸に迫るものがあります。 こういう小著は、わけても好著の薫香漂う。それ…