富田常雄『418浬の戀』太陽出版社を読了。 昭和22年に刊行された短篇集。『姿三四郎』が書かれたのが昭和17年で、その後『明治の風雪』『白虎』といった大衆小説を書いて人気作家となったあとの作品集なのだけれど、本作に納められているのは『姿三四郎』の著者とは信じがたい純文学志向をこじらせてしまったような作品ばかりなのである。著者による「あとがき」を見ると、20年ほども前に「文藝時代」「文藝公論」「文藝思潮」といった雑誌に書いた「私にとっては文學上の歴史的な古戦場の遺物」であり、「青春の文學への追憶」であり、「わが文學の胎盤」とのこと。どうやら、富田常雄人気に目をつけた出版社が、古い作品を引っ張り出…