東京出張の際、政治資金パーティー裏金事件に揺れる国会周辺を歩いてみた。自由民権運動から150年。明治政府に民撰議院設立建白書を出した先人なら、昨年来の混乱をどう見るのかと疑問がよぎる。 明治維新から戦前まで、日本に民主主義は根付かなかった。いくつかの国家観がせめぎ合う中、人民の自由と権利の思想は一時の潮流となりつつも、藩閥政治が主導する帝国主義にのみ込まれていった。 浮かんでは消える事象が、後の世にうねりとなることがある。昭和史を探究してきた作家の保阪正康さんは近著で、そうした現象を「歴史の地下水脈」と呼んだ。その視点を借りるなら、民主主義も地上に湧き出したかつての地下水脈となる。 戦後80年…