『実力も運のうち 能力主義は正義か?』 マイケル・サンデル 鬼澤忍訳 ハヤカワ文庫 いやあ、面白かったです。どういった種類の面白さかというと、知的丁寧さと思慮深い論考によって、「自分はこれまでだいぶ間違っていたのではないか」と自責すら覚える内省を促す内容であったことです。ですので多くの部分をじっくり読みこまされました。 だいぶ内容が厚い本でしたので、各章ずつ、著者が書きたかったことと、たまに私の感想などを交えて、本書を紹介してみたいと思います。 序章――入学すること 第1章 勝者と敗者 第2章 「偉大なのは善だから」――能力の道徳の簡単な歴史 第3章 出世のレトリック 第4章 学歴偏重主義――…