皇居の地面を掘り返したら、意想外のモノが出た。 大判小判がザックザク――だったらどれほど良かっただろう。だが現実には、それよりずっと生っぽい、命の最後の残骸的な、有り体に言えば人骨が、もうゴロゴロと出現(あらわ)れたから堪らない。 至尊のまします浄域にあってはならない穢れだが、よくよく思えば無理もない。あそこは元来、武士の、幕府の、徳川の、総本山なのだから。侍という、殺したり殺されたりすることが専売特許な連中が、何百年もの永きに亙り所有してきた物件である。 そりゃあ埋まっているだろう、死体の十や二十ぽっちは、必然に。 こういう事件は何度もあった。 最初は大正十四年、大震災にて崩れたところの二重…