「無視界飛行、だと?」 僕が最初に相談したのは、教官だ。予想通り眉が上がる。 「航空機の操縦には視界でなく計器のみに頼る飛行もある。だがそれは高度な安全システムと技術を備えたパイロット、的確な管制があって初めて成立するものだ」 「教官。朋夏にこのままパイロットをやらせたとして、明日の本番で操縦に失敗したら、どうなりますか?」 「スピードと高度を考えれば、海面はコンクリートと同じだな」 教官の返事は、素っ気ない。 「挫折を恐れて挑まなければ、何も得ることはできない。そしてどんな挑戦にもリスクはある。それがスポーツであれ、学問であれ、人生であれ、だ。ただ、がむしゃらに挑むばかりなのも愚か者だ。挑戦…