三十七ー1 朝食後、藩主に朝のお目通りをした。 「昨日はゆっくりと眠れたかな」 滝川は僕に向かって言った。 「はい、ゆっくりと休ませてもらいました」 「そうか、それは何より。体調は万全かな」 「ええ、調子はいいです」 「それは良かった。時間まで、ゆるりとしていられよ」 「ははー」 僕らは控えの間に通された。 立ち合いの衣装が用意された。 僕は着物を着、袴を穿いて、着物にたすき掛けをした。 また鉢巻きが用意されたので、それを額に巻いた。 やがて、時間が来た。 太鼓が打ち鳴らされた。 中庭に案内された。 昨日と同様に、右側の席に、藩主滝川の姿があった。 前方に氷室隆太郎がいた。 中央に二人の若侍が…