寺島町奇譚 滝田ゆう 毎日同じような繰り返しで、倦んでいる人も多いかと思う。私もそうだ。「繰り返しの意味が分かっていない」と、よく師匠に言われたことを思い出す。その意味を今尋ねようとしても、もうそれは現世ではかなわない。この時季、過去を振り返ることが多い。なぜなのかは、わからない。あまり、残り時間がなくなっているせいかもしれない。ここのところ、なぜかよく思い出すのが、『寺島町奇譚』である。滝田ゆうさんの代表作といっていいこの漫画を読んでいると、無性に懐かしさを感じる。今から50年以上前の作品だが、舞台になるのは、東京都向島区寺島町で、永井荷風の小説『墨東奇譚』にも描かれた玉の井の遊郭風景を描い…