ユクは食べ物を貰えそうだと、お座りをして、じっと待っている。両眼はまっすぐに食べ物のほうを向いている。片時も目線を逸らさない。よそ見をして、その機会をなくしてしまったら大変だ、必ず生き抜いてやる、という気概を感じる。 野良犬であった数ヶ月間、いろいろな人から食べ物を貰っていたのだろうか。作業服を着た男性に対して、いつも唸る様子を見ていると、その時代に何かあったのだろうな、と勘ぐってしまう。 お散歩の準備に対するご褒美を訴えるユク坊。 私の記憶にある、番犬として飼われていた頃の犬たちは、味噌汁ご飯や魚の骨のようなものを食べていた。今ではドッグフードも進化して、栄養バランスが考えられた食事を犬たち…