ノネコは、山のねぐらに、ひとりぼっちで暮らしていた。 山には、猫のお客はめったにやってこない。それでも、ノネコは毎日、テーブルにイスの数だけお皿をならべた。 小学館 まんげつの夜、どかんねこのあしがいっぽん/朽木祥 作・片岡まみこ 絵 シチューをとろりと煮込み、小エビをからりと揚げて、フィッシュケーキをきつね色に焼きあげた。ミルクとチーズのプディングも、ゆるくあわだてたクリームをたっぷりとかけた。 だけど、だれもやって来なかった。 くる日もくる日も一人ぼっちだったので、いつも一人でごちそうをたいらげていたので、いつの間にか狸みたいに大きくなってしまっていた。 春のある日、ノネコは友だちをさがし…