1974年京都府生まれ。英国ケント大学英文科博士課程修了。和洋女子大学英文科専任講師、英米文学翻訳家。 訳書に『贖罪』(イアン・マキューアン 新潮社)、『ジーヴズの事件簿』(ウッドハウス 文藝春秋)、『エムズワース卿の受難録』(ウッドハウス 文藝春秋)、『愛の続き』(イアン・マキューアン 新潮社)、『どんどん変に』(カレン・ウィルキン 河出書房新社)、『スーパー・カンヌ』(J・G・バラード 新潮社)、『午後の人』(アントニー・ボウエル 水声社)等がある。
みなさんは読まなくても十分楽しめる全集があることをご存じでしょうか。2012年くらいにいったん完結して、その後2021年に、新たに出版された『ブリーディング・エッジ』を加えて完全になった「トマス・ピンチョン全小説」がそれである。 トマス・ピンチョン全小説| 全集・著作集 | 新潮社 僕はやっぱりなんといってもこの全集のカバーアートが本当に好きなんですよね。ひとつひとつにけれん味と美意識、そして夢が詰まっていて、しかも全13作品異なったコンセプトで制作されていながら、なんとなく深いところで、シリーズとしての統一性を担保するような高い緊張感が維持されている感じがするのである。 トマス・ピンチョン、…
無条件降伏 誉れの剣Ⅲ イーヴリン・ウォー 著/小山太一 訳 主人公に突きつけられる「戦争の名誉」と「男らしさの神話」への痛烈な批判。作家自身の軍隊経験をもとに、戦争の醜悪かつ滑稽な現実と古き理想の崩壊を時に喜劇的に、また辛辣に描いて、最高の第二次大戦小説と称賛されたイーヴリン・ウォー最後の傑作《誉れの剣》三部作完結篇。本邦初訳。 遠きにありて、ウルは遅れるだろう ペ・スア 著/斎藤真理子 訳 著者は1965年ソウル生まれの女性作家。イメージに富むと同時に生硬で鉱物的な破格の文体を用い「韓国文学史で前例なき異端の作家」と評価され、今までに多数の短篇集と長篇、エッセイ、詩作品を発表。常に独自のス…
2022年も終わりですね。 今年は、前半は2021年の勢いそのままに引きこもってひたすら本を読んでいました。一方、後半は居住地の変化があったことをきっかけに生活スタイルが少し変わり、特に理由はないものの本を読まない期間もあったりして、ペースとしては大分落ちました。 さて、今年一年間で読んだ本は、32冊+α。う~~ん微妙!まぁ、たくさん読むことを目的には全くしていないので、自分のペースで読書と向き合えたという意味では今年も良い一年でした。 今年の読書テーマとしては、ほぼ2021年を受け継ぎ、『文学賞』と『新しい出会い』であったと思います。 まずは『文学賞』から。 今年も本屋大賞ノミネート10作を…
結婚はサヴァイヴだ。 序:愉快な仲間たち(作品紹介) 狂える母 ①階級について ②狂気 ③罪と罰の経済 ④家族というコレクティヴ ⑤過剰な自我、卑小な自我 ⑥女たちの共同体
本の買取強化中です。JR小倉駅北口「小倉の古本屋」古書城田(旧ブログです) JR小倉駅北口(新幹線口)の古本屋、古書城田です。北九州市内をはじめ福岡県内&近県、本の出張買取、本の遺品整理を行なっています。大量歓迎です。査定無料、出張費無料です。どうぞご相談くださいませ。 古琉球 岩波文庫 青 (2003年 第2刷) 伊波普猷 岩波書店 マゼラン 最初の世界一周航海 ピガフェッタ「最初の世界周航」 トランシルヴァーノ「モルッカ諸島遠征調書」 岩波文庫 青 (2011年 第1刷) 長南実:訳 岩波書店 衣服哲学 岩波文庫 青 (2010年 第6刷) 伊波普猷 岩波書店 招魂としての表現 福武文庫 …
学研パブリッシング(当時)が手がけていた文庫レーベルに、「学研M文庫」というのがあった。特に歴史小説や戦史ものを出していたことで知られるが、わたしにとっては、酒井潔『悪魔学大全(1)(2)』、アンソロジスト・東雅夫氏の編纂にかかる「伝奇ノ匣」シリーズや「幻妖の匣」*1、種村季弘『偽書作家列伝』『澁澤さん家で午後五時にお茶を』、加藤郁乎『後方見聞録』、それから安原顯編『ジャンル別文庫本ベスト1000』『ジャンル別映画ベスト1000』等を刊行したことが印象に残っており、――やや大げさにいうと――青春期の読書体験の一頁を彩ってくれた、忘れ難いレーベルである。そう云えば、後藤明生(訳)『雨月物語』、立…
唐突に小説のオールタイムベストを書き残したくなった。いつか見返したときに楽しそうなので。さっそく考え始めたが、しばりがないとどうにも決まらないので、作家1人につき1冊にする。順不同。 リチャード・パワーズ『舞踏会へ向かう三人の農夫』(訳・柴田元幸) テッド・チャン『息吹』(訳・大森望) ジョン・ウィリアムズ『ストーナー』(訳・東江一紀) 呉明益『自転車泥棒』(訳・天野健太郎) イアン・マキューアン『贖罪』(訳・小山太一) スタニスワフ・レム『ソラリス』(訳・沼野充義) アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(訳・小野田和子) 伊藤計劃『ハーモニー』 小川哲『ゲームの王国』 中井英…
ゴーリーが12のホラー短編をセレクト 2006年刊行作品。ダークな作風で知られる、絵本作家エドワード・ゴーリー(Edward Gorey)が、編集者時代に作品選定、及び、イラストを担当したのが本書。原題は「The Haunted Looking Glass」。解説は濱中利信が担当している。 憑かれた鏡 エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談 作者:A・ブラックウッド,W・F・ハーヴィ,C・ディケンズ,L・P・ハートリー,R・H・モールデン,R・L・スティーヴンスン 河出書房新社 Amazon 河出文庫版は2012年に刊行されている。 ちなみに、単行本時のタイトルは『憑かれた鏡 エドワード・ゴー…
P・G・ウッドハウス、岩永正勝・小山太一編訳の『ジーヴスの事件簿 才智縦横の巻』を読みました。 私の本棚ではごく稀に登場する海外文学です。私としては初対面の方ですが、界隈では余りにも有名なお方のようですね。 本作はポンコツ主人と賢明な従僕という王道の設定で、どまんなかを往く面白さでした。こういった作品の登場人物は設定先行型のキャラになりやすいのですが、本作はバーティにもジーヴズにもしっかりと人間味を感じました。久々に思いっきり楽しめた気がします。 海外文学が苦手な方でも問題なく楽しめるタイプのやつです。 では、以下はネタバレありで書いていきます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…
本棚で待っている本たち。 忘れないように。 贖罪 (新潮文庫) 文庫 – 2018/12/22 イアン マキューアン (著), 小山 太一 (翻訳)
The Coming of Bill(1919)P. G. Wodehouse 二〇一八年、美智子さまが、皇后での最後の誕生日において「ジーヴスも二、三冊待機しています」とおっしゃられました。 それをきっかけに、突如としてP・G・ウッドハウスブームが巻き起こりました。美智子さまのお言葉を記した帯が既刊本に巻かれ、書店に平積みされた夢のような光景を記憶されている方も多いことでしょう。 これによって、「ジーヴス」シリーズを十四冊刊行している国書刊行会が潤ったのか、しばらく新訳の途絶えていたウッドハウスを復活させてくれました。二〇二一年から刊行された新叢書「ウッドハウス名作選」がそれです。 残念なが…
『高慢と偏見』ジェイン・オースティン 大島一彦/訳 中央公論新社[中公文庫] 2022.3.26読了 イギリスの古典小説、それもとびきりおもしろい恋愛小説のひとつが『高慢と偏見』である。サマセット・モーム氏も世界の十大小説の一つに選んでいる。男性がこの恋愛小説を名作に選ぶとは余程だと思う。 イギリスの田舎町に住むベネット家には5人姉妹がいた。特に長女ジェインと次女エリザベスの恋愛模様を中心にして物語が展開されていく。聡明なエリザベスがこの作品の主人公であるが、私は姉妹の父親ベネット氏がとても好ましく思えた。 自尊心とか自負心とかいうものは(中略)実際誰にでもあるものであり、人間性はとりわけ自負…
こんにちは!ブログ係です😊 橋オケには三役の一つにPTA議長という役割があります。本日はそんなPTA議長である小山太一さんのインタビューをお届けいたします!👏 新入生の皆さんには聞き馴染みのない役職だと思いますが、PTA議長とは一体どんな仕事なのでしょうか ぜひ最後までご覧ください👀 🌸そもそもPTA議長って何ですか、、?お仕事内容を教えてください! PTA議長とは、Part Top Association(各パート、各セクションのトップが集まり、オケの練習方針などを決める機関)の議長であり、他楽団でいうところのインスペクターに近い役職です。具体的な仕事としては、主にPTA会議を主催し、演奏会…