中国思想史作者:雄三, 溝口,毅, 小島,知久, 池田東京大学出版会Amazon池田知久「秦漢帝国による天下統一」*1から。 前にも書いたように、「二世界論」というのがそもそもわからないのだった。 戦国末から儒家も『易』の経典化のなかで道家の二世界論を取り入れた。もともと『易』は民間の占いの書であり、儒家とは何の関係もないものであった。儒家の重要な思想家は孔子から荀子にいたるまで、これに肯定的に言及したことがなかった。孔子が『易伝』(『易』の注釈書)の十篇を作ったという話は、漢初になって『易』を儒教化する必要からつくられた虚構であり、また孔子が『易』を読んだとされることも疑わしい。漢代に儒家が…