足利義満について知っていることと言えば、金閣寺を創建した室町幕府の将軍、というぐらいだった。 そんな自分でも、今谷明「室町の王権」を読んだ時は驚いた。 鎌倉幕府と大名たちが活躍する戦国時代の狭間にある室町幕府は、ちょっと地味な印象だし、南北朝期辺りにフォーカスを当てる網野善彦の民衆文化史からも、逆に中央政権の動きには光があまり当てられてなかったと思う。 そんな前置きはともかく、この本は東アジアの国際情勢の中で、足利義満が行ったことの意味を推測する、そんな本である。 「室町の王権」がつぶさに足利義満の意図を探るのに対し、それは何故?を問い、同時代の中国、朝鮮の動きと並べ、京都の公家、寺、幕府関係…