作家。1962年、岡山生まれ。早稲田大学卒。 1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞受賞。1991年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。2004年「博士の愛した数式」で読売文学賞・本屋大賞受賞。同年「ブラフマンの埋葬」で泉鏡花文学賞(第32回)受賞。2006年「ミーナの行進」で谷崎潤一郎賞受賞。 主な作品に「シュガータイム」「密やかな結晶」など。静謐で透明感のある文体が特徴。
今回は小川洋子さんの『ことり』を紹介します。 平成24年度芸術選奨文学科学大臣賞(文学部門)受賞の作品です。 書店でポップに名作だよ~みたいなことが書かれていたのがきっかけで購入した記憶があります。(なんせかなり積読状態だったので詳しく覚えていないのである) 小川洋子さんだし。絶対外れないと思っています。 目次 あらすじ 感想 最後に あらすじ 小鳥をこよなく愛した兄弟がいた。 兄は人間の言葉が話せず、ポーポー語を使う。 唯一、兄のポーポー語を理解できた弟である「ことりの小父さん」。 そんなことりの小父さんの人生の物語。 感想 ことりの小父さんの人生、世界は、とても静かで穏やかで、どことなく切…
はじめに 小川さんの作品に一か月ぶりにお目にかかります。 本作は2000年に発表された作品ですから、割と古い部類のものかもしれません。四半世紀か。 構成について 本作は連作というのでしょうか。同じ主人公によるシーンの違う短編で構成されている作品となっています。 作家が主人公、ペットとしてラブラドールを飼っている、息子さんがいる、という背景から、なんだか小川氏本人を模したのかなあなどと勝手に想像してしまいます。作家の母親がキリスト教に没頭している設定も、小川さんが宗教の家で育った(from wikipedia)影響があるのかなあ、とか。 印象:意外と普通かな それでですね、読了した段階ではなんと…
1、作品の概要 『不時着する流星たち』は、小川洋子の短編小説集。 10編からなる。 2017年1月28日に刊行された。 単行本で252ページ。 『本の旅人』2016年2月号~11月号に掲載された。 実在の人物や起こったことなどがら着想を得た10編の物語。 2、あらすじ ①誘拐の女王 血の繋がらない17歳年上の姉。 彼女がいつも持ち歩いていた裁縫箱には、彼女がかつて誘拐されていた時に窮地を救ってくれた品々が詰まっていた。 ②散歩同盟会長への手紙 かつて有能な梱包係だった男。 精神療養施設の限定された世界を散歩する彼は、散歩同盟の会長への手紙を胸の内でつぶやく。 ③カタツムリの結婚式 遠く離れた孤…
雨が降り始める前にウォーキングを……と思っていたのに、 10時頃には既に降り始めてしまいました。 どうしようか悩みましたが、 昨日は農作業に忙しくて出来なかったので、 今日は傘をさしてテクテク🚶テクテク🚶 行ってみたいパン屋さんやお花屋さんをゴールに設定し、 Google mapルート検索で歩くと、 ご近所さんなのに、 通ったことのない小道を抜けて歩くので、 20年近く住むこの地域に、 新しい発見があって楽しいです。 今日は初めて行くパン屋さんで、 お昼ご飯にメロンパンを買ってしまいました。 楽しい誘惑ももれなくついてくるので困ったものです。 *今日のスープと夕飯 今日もまた鶏ガラスープをとり…
226.ことり/小川洋子 どんなに形の違う小石でも、一緒にポケットに入れておくうち、不思議と馴染んでくるものだとよく知っていたからだ(p.35) ことり (朝日文庫) 作者:小川 洋子 朝日新聞出版 Amazon 小鳥の言葉を理解する兄と、ただ一人兄の言葉を理解する弟、2人の兄弟の慎ましくも儚い一生を描いた、小川洋子の長編小説。 人の言葉を話すことができない兄は、鳥のさえずりと呼応するように会話をすることができた。そして、そんな兄の言葉を理解することができたのは、弟ただ一人だった。 誰にも理解されない言葉を不自由に思うことなく、小鳥たちと戯れながら生活する兄を、弟はひっそりと支えながらともに暮…
あぁ「小川洋子ワールド」という感じでした。文庫本で。 「薬指の標本」 小川洋子 著 Amazon.co.jp 清涼飲料水工場で働いていた「わたし」はサイダー製造の作業中謝って薬指の先端を切断し失ってしまう。工場を辞めたわたしは偶然見かけた求人の張り紙を見つけた町の標本室に勤めるようになる。楽譜に書かれた音、飼っていた鳥の骨、火傷の傷跡…様々な思い出の品を標本にしてほしいと持ち込む依頼人たち。わたしはそれらを受け付け、標本作業はオーナーで技術士の弟子丸が担当するが、標本室は閉ざされて作業は一切目に触れることはない。ある日わたしは弟子丸から「毎日履くように」と靴をプレゼントされ、やがてひっそりと逢…
「猫を抱いて象と泳ぐ」小川洋子 <感想> 小説は最後まで目を通さないと味わいが半減。 と思いながら読了したが残念ながら最後まで没入できなかった。 読解力の無さだろうか。はたまた好みの問題か。 個人的にはきっと、少年には力強くあって欲しかったから。そんな姿を見たかったから。 戦った結果はどうであれそんな仮定に惹かれるのだ。 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) 作者:小川 洋子 文藝春秋 Amazon <内容紹介> 「大きくなること、それは悲劇である」。この箴言を胸に十一歳の身体のまま成長を止めた少年は、からくり人形を操りチェスを指すリトル・アリョーヒンとなる。盤面の海に無限の可能性を見出す彼は、い…
読了してから一週間近く経ってしまい、印象が薄れてきています。 こういうとき、電子書籍というのはちょっと面倒ですね。読中メモは残せますが、私の端末は手書きのようにササっというわけにいかない。というのは私の持っている端末がかなり古いからですが。フリック入力とかできたらいいのに。 で、記憶の断片と拙いメモとを寄せ集め、自分どう思ったんだっけ?と思い返す始末。 前々日の夕飯すらはっきりと思い出せない位だから、ましてや本の内容をや、ですよね。 はじめに 先月小川氏の作品を久方ぶりに読み、改めてその「静けさ」を堪能しました。その後Kindleでお勧めされたのが本書。 作品の印象とはまた違った、作家さんの素…
気になると、同じ作家の作品が続く傾向に。今回は文庫本で。 「貴婦人Aの蘇生」 小川洋子 著 Amazon.co.jp 動物の剥製を収集する趣味を持つ伯父が、ある日ホッキョクグマの剥製に頭を突っ込んだ状態で亡くなっているのを発見される。一人残されたユーリ伯母さんは広い洋館で伯父の遺した膨大な剥製の一つ一つに「A」の刺繍を施して暮らす日々。父親の急死で経済的にも困っていた大学生の「私」は、この叔母と同居し面倒を見る代わりに伯父の遺産から学費を出してもらう事に。静かなユーリ叔母さんとの暮らしに滅多に訪問者は無く、ただ「私」のボーイフレンドで強迫性障害を患うニコが訪れるだけだったが、やがて剥製売買のブ…
皆さん、こんにちは。 当地では旧正月を迎えました。 激しく鳴り響く爆竹を十数分と親族との過食?とを堪能しました笑 改めて思いますが、華僑の方々は本当に家族を大事にしますよね。集まりが大好き。そして話好き。私は広東語が喋れんので、連れていかれても食事の後はソファーで読書か居眠りをするだけなのですが、お開きがいつも午前3時頃(時には更に遅く)になるのはやや閉口します。 でも逆に言葉が通じる方が大変か。「あなたのお母さん、本っ当に面倒くさい」とは家内の言。他方私から見れば義母はかわいいおばあちゃん。何しろ言っていること、分かりませんしね。 家族とは難しいですね。 ひとこと 小川さんの作品には、いつも…
ある日の返却本。これまた、文庫になる前の単行本だが。→職場の図書館で借りたら、文庫だった。まぁ文庫版の方が、最後に往復書簡なるものも収録されていて、完成度は高い。 ゴリラの森、言葉の海 (新潮文庫) 作者:山極 寿一 新潮社 Amazon wikipedia:河合隼雄*1曰く、「嘘は常備薬・真実は劇薬」だそうだ:「河合隼雄」を読む。 wikipedia:山極壽一によると、さん付けで呼ぶのは京大の流儀とされてたが、前読んだ本(書名・著者失念…)では物理屋の流儀、とされてた記憶があるんだが。同様の意見はあった:【物理のひと】「さん」と「先生」 – HiggsTan ゴリラは人間の鏡だそうで、ググっ…
2024年4月22日(月)第22回目の短編小説読書会を行いました。 今月の読書会は申し込みが多く、2回に分けて行いました。 あっという間に両日定員に達してしまい、キャンセル待ちまで発生したくらい大盛況でした。お申し込みいただいた方、ありがとうございます! そして、残念ながらお呼びできなかった方、申し訳ありません…。 今回はその2回目。参加者は8名で行われました。 今回の課題分は安部公房『デンドロカカリヤ』。 選んだ理由はいくつかあるのですが、 ①作者の安部公房が今年生誕100周年を迎えること ②主人公のコモン君が変身したとされる「デンドロカカリヤ」が小石川植物園にあり、みんなで見に行きたいため…
神やんが連続で現れない場合朝イチのイメージを優先する または、昨日のつづきを続ける…ことにしています。 ルドルフ・タシュナー(注意!シュタイナーではありません!)「数の魔力」から 美味しいところつまみ食い、のつづき。 今日のつまみ食いはこちらです。↓↓ 【過剰数、不足数、完全数と友愛数】 数字の約数をみるとその数字の「質」を探求することができる。 これはピタゴラス学派の人々の考え方。 数字の「質」というのはその数が「何を」示しているのか。 数字は、ものの数や距離や重量、などなど数を表す共通尺度でもあり 「何か」を示す質感を伴う概念でもある という感じですね。 ※あくまで私の理解です🙇 その「何…
・『心身を浄化する瞑想「倍音声明」CDブック 声を出すと深い瞑想が簡単にできる』成瀬雅春 ・『歌うネアンデルタール 音楽と言語から見るヒトの進化』スティーヴン・ミズン ・言葉が歌から生まれた可能性・『言葉の誕生を科学する』小川洋子、岡ノ谷一夫 じつは、発声学習できる動物には「息を止めることができる」という共通点があります。「そんなの、犬やネコだってできるだろう?」と思うかもしれませんが、イヌ(ママ)もネコも息を止めることはできません。あるいはサルもウマもシカも、発声学習しない動物はみな、自分の意思で息を止めることができないのです。一方、発声学習できるオウムや九官鳥、イルカ、クジラなどは、自分の…
早朝のラジオで、大谷選手の5号ホームラン、176本の新記録が報じられました。 「濃霧注意峰」、外は、昨夜来の雨が上がり、曇り空です。 昨夜来の雨、トータル雨量は1.5ミリ。 内訳は、1ミリ(22〜23時)、0.5ミリ(2時) おかげで、辺りはしっとりしています。 アメダス、最低液温は12.1度(6:31)、終日、曇りの予報です。 朝イチ仕事は洗濯、大部分は部屋干しにしました。 読売新聞 一面 見出しは 海自ヘリ衝突か2機墜落 鳥島東沖 1人死亡7人不明 潜水艦探知夜間の訓練中 ウクライナ支援9.4兆円 追加予算案 米下院、超党派で可決 社会面 相次ぐ墜落 衝突 海自ヘリ事故 防衛省、基地地元「…
やがてヨブは口を開き、自分の生まれた日を呪って、言った。 わたしの生まれた日は消えうせよ。男の子をみごもったことを告げた夜も。 その日は闇となれ。神が上から顧みることなく光もこれを輝かすな。 (新共同訳聖書『ヨブ記3章1節〜4節』) あまりにも調子が悪かったので、病院に電話をして即日診察をしてもらい、頓服の処方をしてもらった。アリピプラゾールとスルピリド。これがお守りなのである。 帰りに図書館に行き、江國香織『金平糖の降るところ』小川洋子『琥珀のまたたき』穂村弘『水中翼船炎上中』を借り、純喫茶に行く。 ここは行きつけにしたいくらいいい喫茶店。なんと川端康成が来店したこともあるとか。でも駅前にあ…
はじめに 小川洋子さんによる動物がテーマの短編集。2013年発行ですからちょい前のものです。 タイトルと主人公について 作りとしては短編集となっています。相変わらず不思議な物語を綴ります。 タイトルに動物が絡みますが、物語は時として重層的に進みます。 あらすじを書こうと思ったのですが、上記の重層性の関係で説明しきれんと思い、このようにバッサリやりました。 帯同馬・・・タイトルは『フランスの凱旋門賞で優勝が期待されるディープ・インパクト。慣れない土地への移動のストレスを緩和するためにピカレスクコートが帯同場として出国した。』という点より。主人公は(おそらく)大阪モノレール間のみ移動できる電車恐怖…
2024年4月16日(火)第22回目の短編小説読書会を行いました。 今月の読書会は申し込みが多く、2回に分けて行います(両日ともに定員に達したため募集は終了しています) 今回はその1回目。参加者は新規4名を加えた7名で行われました。1人欠席が出ましたが、それでも普段から考えるとまあまあ多い方です。 今回の課題分は安部公房『デンドロカカリヤ』。 選んだ理由はいくつかあるのですが、 ①作者の安部公房が今年生誕100周年を迎えること ②主人公のコモン君が変身したとされる「デンドロカカリヤ」が小石川植物園にあり、みんなで見に行きたいため(※こちらは後日、別記事にて案内します) が大きな理由です。 いつ…
芥川賞受賞作を遡って読んでいる感想の続き。90年代の分です。 2000年代:続・芥川賞ひとこと感想日記(2009-2000) - 京都ぬるぬるブログ2.0 (hatenadiary.jp) 2010年代以降:芥川賞ひとこと感想日記(2022-2010) - 京都ぬるぬるブログ2.0 (hatenadiary.jp) ■ 玄月『蔭の棲みか』(1999年下・第122回) リンチの場面があからさまに痛そうで凄惨で、それに気を取られる読者――この世界を「異文化」のように思って読んでいた「日本人」読者(私)は、うっかり、最後に登場する日本の警察権力という圧倒的な暴力をスルーしてしまいそうになる、という仕…
はい今月もやってきました、「文芸誌を一年間読んでみるチャレンジ」参加者各位による定期報告会でござんす。 果たして繁忙期の面々は膨大な文芸の海を渡り切ることができたのか…!? その結果をしかとご高覧くださいませませ。 アクロバティックなチャレンジについてはこちらhimasogai.hateblo.jp 群像四月号・Sさん 色々あってまだ半分でした 毎年四月号には『震災後の世界』の特集があって、今回は古川日出男さんが書いている。『キカイダー、石巻、鳥島、福島』は「時間が飛ぶ感じ」がすごく魅力的 古川さんはいつもニット帽をかぶっているけれど、脱いでいる写真がカッコいい 柴崎友香さんと古川日出男さんの…
声優・早見沙織が登場!TOKYO FM「カワイ肝油ドロップ presents よ・み・き・か・せ」4月15日(月)~ TOKYO FMで放送中の生ワイド番組、『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』(月~木13:00~14:55放送)内の人気コーナー「カワイ肝油ドロップ presents よ・み・き・か・せ」(14:30頃)に、4月15日(月)~18日(木)、声優・早見沙織が登場。 人気コーナー「カワイ肝油ドロップ presents よ・み・き・か・せ」。 今回、4月15日からは、人気声優・早見沙織が登場。早見沙織がよみきかせるのは、「とんことり」、「ボタンちゃん」の2冊。 よみきかせについて、…
おもしろい小説を読みたい! というわけで、歴代の「本屋大賞」受賞作品とランキング作品をすべてまとめた。表紙画像クリックでAmazonへ、あらすじやレビューも確認できるのでご参考まで。 それではいってみよう! 2024年 本屋大賞『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈 「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。 成瀬は天下を取りにいく 「成瀬」シリーズ作者:宮島未奈新潮社Amazon 2024年 ノミネート作品(2…
文春文庫 Mさんの「砂嵐の追跡」の野鳥愛好家から連想したのは、共に暮らしたスズメの一生を記したクレア・キップスのこの本。 挿画は酒井駒子でカバーや帯の色までも美しい文庫本。 訳者が梨木香歩、解説が小川洋子。 さらに豪華なことには、キップスに執筆を薦めたのが怪奇幻想小説のウォルター・デ・ラ・メア! 第二次世界大戦中に実在した、あるスズメについて書かれた本です。 巣から落ちていた所を救われた雛を12年間育て、最期の日まで見届けた稀有な記録。 ピアニストであるキップス夫人が弾く伴奏に合わせて日々歌い、戦時下には芸をして人々を慰めた偉大なスズメのお話です。 繊細な感性と観察眼、そして文章が端正でウェッ…