僕は鞄を持ち上げて、ドアに近付いた。 まつりが「あ、待って」と言う。 振り返ると、まつりが近付いてきて、僕の頬にキスをした。初めての感触。 「えへへ、メリークリスマス」 まつりが言った。 「また、明日ね」 「うん」 僕はどんな表情をしていたのだろう。思い出せないまま、家に帰った。ベッドに寝転んだとき、気が付いた。 あの部屋、様子をモニターできるんじゃなかったっけ。まつりママが見ていなかったことを祈った。 終業式、渡された成績表は良くも悪くもなかった。出来が悪かった中間考査と、取り戻した期末考査。合わせるとこんな感じなのだろう。 とにかく、ポピュラー・ミュージック・クラブの部長としては、午後の「…