八月の御所グラウンド 著 者:万城目学 発行所:文藝春秋社 この単行本には表題作と「十二月の都大路上下る」と二編納められている。「十二月ー」は女子高校生の駅伝全国大会の話なのだが、万城目らしく不思議な現象が。 「八月の御所グラウンド」もシュールで心温まる万城目ワールドが展開されている。私の年代の男ならほとんどの人が憧れたであろう沢村栄治が登場するので、そのあたりからどんどん物語に入り込んでしまった。沢村栄治は私が生まれた頃はすでに他界していたのだが、毎日学校から帰ったら近くの空き地でソフトボールや軟式野球をしていた野球少年にとっては神様のような人であった。彼の野球人としての実績だけでなく、肩を…