「ノーベル文学賞のすべて」というタイトルに、その選考における様々なエピソードや選考方法とその偏りなどが紹介されていることを期待した。編著者の中心である都甲幸治が綴る冒頭の「ノーベル文学賞とは何か」でそうしたことが説明される。が、なにせ1901年から117人もの作家が受賞している。その間には、選考基準も時代によって変わるし、一概には言えない。 そこで、都甲の文章の後には、「専門家が選ぶおすすめの受賞作家たち」、「候補にあがったが受賞しなかった作家たち」、そして「受賞が期待される作家たち」がズラッと紹介されている。その数70人。だがそれでも全受賞者の数には及ばない。2018年に受賞したオルガ・トル…