作家。1930年生まれ。 1958年、「演技の果て」で第39回芥川賞候補。 1959年、「その一年」「海の告発」で第40回芥川賞候補。 1961年、「海岸公園」で第45回芥川賞候補。 1964年、「クリスマスの贈物」で第50回直木賞候補、「愛のごとく」で第51回芥川賞候補。 1965年2月、神奈川県二宮にて交通事故により逝去。享年34。
図書館に予約をしていた本が用意できましたと連絡がありましたので、 本日は借り出しのために出かけることになりました。(図書館からの連絡は メールでくるのですが、これがいつも迷惑メールに仕分けされることになり、 図書館のカウンターでも、そのことはアナウンスされているのですが、困る ことであります。迷惑フィルターも効きすぎると、影響が大きいことで。最近 の迷惑メールは巧妙な詐欺メールも多くなっていて、ほんとうに難しい。) ということで、本日に借りた本は、なぜここまで存在も知らなかったのかと いう一冊なのですが、その本については、また明日以降に話題とします。 図書館からの帰りには、ちょっと寄り道をして…
「ちくま」4月号が届いておりました。 楽しみにしている金井美恵子さんの「重箱のすみから」には最終回と あります。「ちくま」での連載エッセイは、終わってしまうのですね。このところ 隔月掲載になっていて、ちょっとうまく読むことができていないのですが、 ずっと続いていたエッセイが最終回というのはさびしいですね。 かって朝日文庫から刊行されていた「目白雑録」は中公文庫へと場所を 変え、再編集されてでましたが、「重箱のすみから」はまとまって一冊となる のでしょうかね。 (「目白雑録」には「日々のあれこれ」とありまして、「重箱のすみから」の 副題には「あれやこれや」とありました。いずれにしても同じような随…
平和ボケって、何だろう、平和であるからボケてしまうのか、ボケているから平和なのか、と、あまり正面切ってしない逡巡をした時がある。 大江の「遅れてきた青年」と同様的な描写を、山川方夫の「煙突」という作品に見た。彼らはほぼ同世代で、すなわち戦争期に少年時代を過ごし、ともに「国のために死ぬ」ことを教育されてきた二人だ。「死ぬべき生命」。しかもそれは「お国のため」というお墨付きの、いわば正当化された自死である。 山川さんはその小説の中で、「 ハリ があった」と登場人物に言わせている。 自分の生命が限られている。これを本当に知ること── が、「ハリ」のある生活をつくっていたのだろう、と僕は想像した。(そ…
最後にもう1つ、山川さんの短編を。「ゲバチの花」という小説。 前記のショートショートでは、かいつまんだら5、6行で終わってしまいそうで、引用することになったが、これは頭の中を辿れば書けると思う。それだけ、何回も読み返した小説だ。そして読み返すたびに、あたたかい、懐かしい、湿った気持ちになる。 主人公は、有給休暇をとって帰省していた。もう1日、実家にいる予定だったが、いたたまれなくなって出てきてしまった。生まれ育った家が、まるで他人の家になっていたからだ。 兄夫婦、ことに嫂あによめが実権を握り、両親は小さくなって暮らしていた。庭にあった、こども時分にその木陰で休んだりした木も切られ、バラが植えら…
たった三ページで終わるショートショート。字数にすれば、2000字もない。 でもこの山川さんの作品、問答無用に愉しい。 ストーリーをかいつまんで紹介すれば… 六本木のおシャレなバーで二人は出逢った。 モダン・ジャズの話をし、彼は トウモロコシ製の I・W・ハーパーを飲み、彼女はナポレオンのブランデーを飲み、飲むほどに理知的、鋭くセンスのいい言葉を濫発する彼女に、彼は惹かれはじめる。 そして二人は結婚する。彼女は女子大出のテレビアナウンサーで、彼は売り出し中のシナリオライター。『 新居の壁にはモダン・ジャズのレコード・ジャケットが並び、二人はそれぞれのお気に入りの洋酒を飲み、「私はなんたってセロニ…
「せっかく、米ソ二大国間で核実験の部分停止条約が成立したというのに、今夏の広島、長崎両市での原水爆禁止大会は、見ぐるしいありさまのままで終わった」 から始まる、山川方夫が新聞に書いていたコラムを全集で読む。 コラムだから、短い。が、やはり山川さんはほとんど天才だったと思う。その短い文のうちに、ぼくは激しい感動を覚えた。その内容もにもだが、山川さんという人から溢れるやさしさのようなものが、全集の全体からこぼれてくる。 なぜぼくは山川さんのことを書きたいか。たぶんご存知の方も少なく、できれば知ってほしい、という恣意が働いている。「数年前、広島を訪ねた折に、ある小さなレストランで偶然、白髪のひとりの…
作家の柳美里は、けっして幸せといえない子ども時代を送っていた、と何かの記事で見たことがある。その彼女が、唯一やすらげた場所が、本の世界だった、と。 いわば現実逃避としての読書。 そういう本との対し方を、このごろ僕もしている。「三田文学」(慶応大学の文学部が中心になって刊行されてきた文芸雑誌)で、編集者として精力的に活動していた山川方夫まさおの本にである。 ああ、小説って、美しいものなんだな、と、初めて気づかされた思いがする。 読み易い文体、豊富で圧倒的な語彙力、様々な分野での知識。山川方夫という人、そのままが小説に造形されて、うっとりするような魅惑的な世界、一度それを知ったらずっとそこに安住し…
娘の脚にひどい発疹が出ている。週明けの幼稚園には行き渋ることもあり休ませる。生き渋りの原因は、週に1度の週初めにある給食弁当らしいこともわかった。食べられないものばかりらしい。妻が娘を病院へ連れていくと、手足口病と診断され帰ってきた。一昨日少し発熱していたのもこれだったのかと思い至る。処方された薬を塗って様子を見て、明日の登園は問題ないとのこと。 昼食は相変わらず冷たい蕎麦だ。もみじおろしを混ぜて食べる。もみじおろしは薬味として優秀過ぎるのではないか。可能性を感じる。 スーパーで今日もチョコあ~んぱんを買う。できるだけたくさん買って、製菓担当者に在庫を増やしてもらうという企みを実行している。今…
本屋を始めることにした。小さな本屋を。昨日が物件の引き渡し日で、これから内装やらなにやら進めていくところだ。 今日は保管してもらっていたテーブルを搬入してもらった。何もない場所にテーブルだけが来た。 帰りにショッピングモールに寄ってパンを買った。カルディを通ると、限定のフェルトバッグセットが売られていてかわいかったので購入した。10/1、コーヒーの日にちなんで商品らしい。 昼、パンを食べる。サンドイッチは、私の分はすでになく、具の入っていないパンの端の部分が一口だけ残されていた。仕方なくそれを食べた。ほんのり卵の味がした。 午後、スタバに行ってみたいという小学生ふたりを、妻がスタバへ連れていく…
長くて短い一年 ――山川方夫ショートショート集成 (ちくま文庫 や-61-2) 作者:山川 方夫 筑摩書房 Amazon 『長くて短い一年-山川方夫ショートショート集成-』山川方夫著 日下三蔵編を読む。そっか、これって、山川方夫のショートショート集成の第2弾だったのか。まあ、よろしい。 『長くて短い一年』は、カレンダーのように月ごとのショートショート12話でまとめられている。で、2篇がとりわけ惹かれた。 『なかきよの…-新年-』ある老夫婦の物語。老夫は外で飲んで酔って帰る日々。老妻は、半分、眠りながら夫の帰りを待つ。役人だった夫は、定年後、仲人のような仕事についてそれなりの成功報酬を得て悦に入…