単行本や文庫本以外で、葉室麟の作品を掲載しているものがあるのかどうか検索していて、この代表作時代小説のシリーズに取り入れられた作品があることを知った。そこで手始めに手にしたのがこれである。「まえがき」の冒頭に、このシリーズは「半世紀に余る歴史の重みを持つ」そうである。一人の作家の作品追跡から初めて知った。 安西篤子・磯貝勝太郎・伊藤桂一・縄田一男の四人が編集委員となり、平成22年度として選ばれた16作品が収録されている。「凜とした生きざま、惚れ惚れと」というのがこの作品集のテーマなのだろう。「凜と」という副詞は「引きしまって威厳の有ることを表す」(『新明解国語辞典』三省堂)という意義である。こ…