『公職追放に関する覚書該当者名簿』によると、経済学者山本勝市の公職追放該当事項は、「国民精神文化研究所々員学生協会に於て指導的役割を演ず」である。山本は昭和7年から18年まで国民精神文化研究所の所員であったので前半の方はよいとして、後半の方が確認できない。 「学生協会」とは、昭和15年に田所廣泰や小田村寅二郎らが創立した日本学生協会と思われる。井上義和『日本主義と東京大学:昭和期学生思想運動の系譜』(柏書房、平成20年7月)を見ると、66頁の注に「小田村寅二郎や田所廣泰らと近い関係にあったため、精神科学研究所メンバーの一斉検挙の後に、山本も取り締まり当局から圧迫を受けるようになり、勤めていた国…