特定非営利活動法人向日庵の機関誌『向日庵』7号(向日庵、令和6年3月)を御恵贈いただきました。ありがとうございます。「編集後記」では、寿岳文章を論じた記念碑的な2著として、高木博志編『近代京都と文化:「伝統」の再構築』(思文閣出版、令和5年8月)と島貫悟『柳宗悦とウィリアム・モリス:工藝論にみる宗教観と自然観』(東北大学出版会、令和6年2月)が紹介されている。前者には、高木「一九四〇年代の寿岳文章ー日本主義と民主主義」が収録されているのである。 高木論文には、昭和8年寿岳が南禅寺僊壺庵から向日庵へ移った向日町について、寿岳のほかに狩野直喜や河合卯之助が居を移したとある。寿岳と河合の関係について…