著者は、大学の助教授から京都国立博物館の学芸員に転進し、数々の企画展を手がけ、再び大学教授になるというちょっと異色の経歴を経ている。 「あとがき」に「大学の正規の教員が博物館・美術館に勤めを変えることは、明治時代以来、僕が初めてということである」と記す。著者曰く、「机上の空論をひけらかして一生を過ごしたくない、と思った・・・・要するに、早く本物を見る時間が欲しかったのだ」。 そして、企画展の煩雑な作業手続きの後に、「日本中から作品を集め、展示時間以後にはたった独りで思う存分眺め尽くすことができるのだ」 「そうやって観察すると、江戸時代の画家たちの作品にこめた戟しい息づかいまでわかってくるように…