情炎の都市:北村小松、岩田専太郎・画 1933年(昭8)7月~12月、「東京日日新聞」および「大阪毎日新聞」連載。 1934年(昭9) 中央公論社刊。 北村小松は自身の20代からすでに新聞小説を次々と連載していた。これは昭和初期、軍部の勢いが高まって来た時期に当たるが、まだ昭和モダンの人々の自由な息吹が感じられる作品だった。 神戸のミッション系の関西女子学院に通うヒロインの静子は、母親がブラジル人のハーフ(当時は混血児という言い方でやや奇異な感覚で受け止められた)で、父は外務官僚でありながら詩人としても知られていた。彼女は性格的にも開放的かつ行動的な側面を持っていたが、ある日突然、父親が別の愛…