小説家。 1917年4月18日、生まれ。1986年11月12日、死去。 神奈川県横浜市出身。島尾伸三は長男。しまおまほは孫。 1943年、九州帝国大学卒業。 戦争体験や私生活に題材を採った作品で知られる。 代表作に『死の棘』(ISBN:4101164037)がある。 amazon:島尾 敏雄
新潮文庫 昭和三十年 原稿用紙九百枚以上と云う圧倒的な物量の本を ひと夏かけて読んだ。読み辛いともいえるし、 敏雄氏が首を吊ろうとして、子供みんなで止め ようとする場面など、ほとんどコントとも云える。 少なくとも、ぼくは笑ってしまった。ミホさんも 狂っているし、敏雄氏もかなり狂っていて、取り つく島もないのだが、敏雄氏の涙ぐましいほどの ミホさんへの忠誠が、この日記全てを救っている。 なんとか九百枚を完読し、解説に辿り着くと、 加藤陽子女史から、心からお疲れ様、生還を祝し たい、と云う言葉に浴することが出来る。 そうだ、これはひとつの家族の人生と 云う旅を疑似体験したのだ。日本文学の面白さ や…
360■「ぼくはこんな本を読んできた」 今回は『死の棘』島尾敏雄(新潮文庫1981年発行)。奥付に発行が昭和56年1月25日と記されている。ぼくはこの本を発売直後の同年1月31日に買い求めている。例によってカバー裏面の本書紹介文から引く。**思いやりの深かった妻が、夫の〈情事〉のために突然神経に異常を来たした。狂気のとりことなって憑かれたように夫の過去をあばきたてる妻。ひたすら詫び、許しを求める夫。日常の平穏な刻は止まり、現実は砕け散る。狂乱の果てに妻はどこへ行くのか?――ぎりぎりまで追いつめられた夫と妻の姿を生々しく描き、夫婦の絆とは何か、愛とは何かを底の底まで見据えた凄絶な人間記録。**な…
残り物の皿を舐めまわすように、仕舞いの一滴までをも読み取ったとはとうてい思えぬままに、別れなければならぬ小説ばかりだ。 細部までをも検討する機会など、もはや訪れることもあるまい。実例用例を地道に積み重ねて立証せねばならぬ機会も、ありえまい。かつて深刻な興味を抱いて読んだ作家だとて、選りすぐりの代表作のみを寄せた選集を一冊残せば十分だ。私らの世代で申せば、クリーム色の箱入り「新潮日本文学」があれば、また文庫化された代表作があれば、事足りる。 単行本類にたいしては、造本やら装丁やらに懐かしき思い出もあるが、店仕舞いが優先だ。安岡章太郎を、庄野潤三を、小島信夫を、それに出し残してあった島尾敏雄を、古…
「ひとつだけギモンがあるの。きいてもいいかしら」妻は遠慮がちに言うが、そのときすでに彼女のすがたは鴉の黒いつばさを装っている。私は反射的にそばを逃げたくなる。しかし逃げることはできず、じっと待っている。「あなた……に行ったことがあるの?」「…………」「だれと行ったの」「…………」「だれと行ったのよ」「…………」「かくさなくてもいいじゃない。ちゃんとわかっているんだから」「わかっているんならいいじゃないですか」「いいえ、あなたの口からはっきりききたいの。あたしには、なんにも包みかくしははしないって誓ったでしょ。お言いなさいよ。あった通り、すっかりそのまま言ってちょうだい。そこだけでなしに、あなた…
詩人・立原道造が死の直前に長崎へ行った際には、いつも一冊のノートが手許にあった。現在「長崎紀行」というタイトルで読むことができるその文は、その瞬間瞬間の詩人の心象や見えた風景を書き連ねていくというスタイルを取っている。それはあとから旅行記として発表するために書き留められたメモにしては長く、しかし帰ってきてからじっくりとまとめられた旅行記よりも短い。ほんとうはこのメモを元に、詩やほかの創作をするつもりだったのかもしれないけれど、これはすでに十分、旅行記として読むに耐えうる強度を持つ。長崎、南方への憧れを持ちながらも山陰本線経由でゆっくりと西に向かう旅程は、眩しくて、きらきらとしている。苦しいほど…
以前紹介した名作「死の棘」が今 ↓GYAO!で無料視聴できます。3月19日(日)まで↓ 死の棘 GYAO!タイトル情報より引用させていただきます。 別離の危機に瀕した夫婦の絆と家族の再生を描いた人間ドラマ。島尾敏雄原作の同名小説の映画化で、脚本・監督は「伽耶子のために」の小栗康平、撮影は「帝都大戦」の安藤庄平がそれぞれ担当。結婚10年目の夫婦ミホとトシオ。1944年、トシオが特攻隊として島に駐屯したときに、島の娘ミホと出会い、二人は恋に落ちた。二人は死を覚悟するがそのまま敗戦を迎え、そして現在、二人の子どもの両親となっていた。が、ある日、トシオの浮気が発覚。それをきっかけにミホは精神の激しい発…
『死の棘』やっと読み終わった。会社の始業前と昼休みに毎日ちょっとずつ読んでたんだけどそのたびに気が滅入った。夫の浮気が原因で発狂した妻と、その妻と抱き合いながらぬかるみの中を滑り落ちていくようにして自身も狂っていく夫の話。 (今週のお題「最近おもしろかった本」) 死の棘35刷改版 (新潮文庫) [ 島尾敏雄 ]価格: 924 円楽天で詳細を見る ながしには食器が投げ出され、遂にその日が来たのだと思うと、からだもこころも宙吊りにされたようで、玄関につづく二畳のまから六畳を通って仕事部屋に突っ立った私の目に写ったのは、なまなましい事件の現場とかわらない。机と畳と壁に血のりのようにあびせかけられたイ…
名作「死の棘」が今 ↓GYAO!で無料視聴できます。6月4日(土)まで↓ 死の棘 GYAO!タイトル情報より引用させていただきます。 別離の危機に瀕した夫婦の絆と家族の再生を描いた人間ドラマ。島尾敏雄原作の同名小説の映画化で、脚本・監督は「伽耶子のために」の小栗康平、撮影は「帝都大戦」の安藤庄平がそれぞれ担当。結婚10年目の夫婦ミホとトシオ。1944年、トシオが特攻隊として島に駐屯したときに、島の娘ミホと出会い、二人は恋に落ちた。二人は死を覚悟するがそのまま敗戦を迎え、そして現在、二人の子どもの両親となっていた。が、ある日、トシオの浮気が発覚。それをきっかけにミホは精神の激しい発作に見舞われる…
★★★☆☆ あらすじ 自身の浮気をきっかけに心を病んでしまった妻の面倒を見る夫。 www.youtube.com 松坂慶子、岸部一徳出演、小栗康平監督。島尾敏雄の同名小説が原作。115分。 感想 浮気をされた妻が延々と主人公である夫をなじり続ける映画だ。誰の立場で見るかによるが、なんだかずっと針のむしろに座っているようで、居たたまれない気持ちになる。浮気をした相手への嫌がらせや、浮気の疑いのある相手の反応を確かめるために、一緒に見るには最適な映画かもしれない。地獄を味わわすことが出来る。 ただ人間というものは、ずっと責められっぱなしだと反発したくなるもので、この主人公もつい開き直った言葉を吐い…
2008年3月10日配信の「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」です。 http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol23.mp3 しまお:17から22までタイに行ってたんで。 鈴木:タイへ?なんで? しまお:仕事で。 鈴木:あ、仕事なんですか! しまお:はい。友達のアニメ描いてる男の子がタイにいて。 鈴木:それ日本人? しまお:いえ、タイ人。凄く面白いんですけど。その人。 鈴木:どういう人なんですか? しまお:漫画も描いて、アニメも作る人。日本で凄く人気ある人みたいですけど。 鈴木:あ、そうなんだ。日本の雑誌にも描いてるの? しまお:はい、…