「私小説の変化球」 西村賢太が死んだ後、朝日新聞(3月12日)朝刊に真梨幸子が「西村賢太の私小説」を寄稿しました。 その中に、『瓦礫の死角』(講談社)所収の短篇「崩折れるにはまだ早い」について、西村はミステリーに造詣が深く、いつかはミステリーに挑戦しようとしていたのではないかと書き、本作を 私小説なのだが、明らかにミステリーの手法が取り入れられている。事実、私は「あ!」と叫んでしまうほど、騙された。 と評価していました。 これを読み、面白そうだと思ったので、さっそく読んでみました。 初出は「群像」2018年7月号で、その時は「乃東枯(なつかれくさかるる)」というタイトルで発表されました。旧暦の…