旅人をもてなすことを忘れてはいけません。こうして、ある人々は御使いたちを、それとは知らずにもてなしました。(へブル書13章2節) おそらく、へブル人への手紙を書いた著者の念頭にあったのは、アブラハムとサラのもとに来て子供の誕生を告げた天使のことであろう。(創世記18章以下)。古代社会では、旅人をもてなす親切が尊ばれていた。当時の宿屋と言えば、不潔極まりなく、また売春宿をも兼ねていることが多かった。そうした、実情を踏まえて著者は、このように語っているのであろう。ユダヤ的伝統においても、旅人に一夜の宿を提供することが神に喜ばれることであるとの伝統が根付いていた。その兄弟愛を示す、風習をキリスト教会…