「方角が悪い」なんて言葉を使う人間が、今の世の中にあるのか、はなはだ心許ないかぎりであるが、先日「方角の悪さ」を痛感させられることがあった。 とある港町。かつて私はそこの中学に勤務していたことがあるのだが、退任して以来そっちの方面へ行くたびに、どうもにわかに心地悪しくわずらいついてしまうのである。 三回中三度目になった今回は、当地へ近づくにつれて身体中の関節がわなわなと軋むようで、だんだん頭もぽっぽと火照ってくる。季節外れの日差しでのぼせたのだろうくらいに思っていたのだが、頭はズキズキと痛み出して、頸こり肩こりいよいよ凄まじい。 これはいかなることにや、現地に到着したはよいものの、最早や何をし…