出世と恋愛 近代文学で読む男と女 (講談社現代新書) 作者:斎藤 美奈子 講談社 Amazon 大学では近代日本語日本文学専攻だったのですが、基本的にずっと、そんなにわくわくしたりはしていなくて、「つら……」「苦……」という状態でした。 日本の近代文学は監視・検閲そして自主規制とともにあり、その外側には支配階層による暴力の正当化と、当然の帰結としての性差別があり、貧困差別と民族差別と性差別が道徳化しているなかでぎりぎり抵抗(のポーズ)を見せるか、政治とは無関係と嘯いて荒唐無稽さに走るかという、芸術といい文学といいながら非常に選択肢が少ない、傷ついてぼろぼろのものを読み続けなければならないからで…