きさかたやあめにせいしがねぶのはな 元禄2年(1689)6月17日、象潟での作。今から約2600年前、鳥海山の噴火による岩なだれは日本海に至り、海を浅くして幾つもの小島(流れ山)ができた。やがてその辺りが、海岸砂丘によって塞がれて、東西20町(約2200m)、南北30町(約3300m)ほどの汽水湖が形成された。その中にある数十の小島には松などが茂り、九十九島・八十八潟と呼ばれる景勝地として古くより和歌に詠まれることになった。江戸時代には「東の松島・西の象潟」と並び称され、歌枕の双璧としてよく知られていた。 『曽良随行日記』によれば、芭蕉が象潟を訪れた16日から17日の朝にかけて雨が降っていたが…